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Chevrolet Corvette C3 / シボレー・コルベット C3

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The Great American Sports Car / アメリカを象徴するスポーツカー

Chapter 6 - Section 1 - Subsection 1

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第6章 第1節 第1項

シボレー・コルベットは、アメリカのゼネラル・モータース社が1954年(初代のC1型)から生産・販売している、FR駆動(フロントエンジン・リアドライブ方式)の2シーター・2ドア・クーペです。2014年には7代目となるC7型が発売されました。

どの世代も魅力的ですが、私は3代目のC3型(1968~82年)に特別な思い入れがあります。典型的なロング・ノーズ&ショート・デッキのプロポーションに、コークボトルと称される抑揚の利いた唯一無二のスタイリングが特徴です。ダイナミックなフォルムでありながら、繊細かつ端正なライン処理が施され、バランスの取れた美しいデザインにまとまっています。

ただ、残念なことにオイルショックや排ガス規制のあおりを受け、C3型は失速します。C4型からの高性能化やフォルムの欧風化などにより、C3型は強烈な外観と裏腹に存在感が薄れ、モデルカーの世界でも不遇な存在と化しました。

母国のアメリカには、1/43スケールの精密モデルカー・メーカーがほとんど無く、モデルカー大国ヨーロッパでは、大型のアメリカ車はあまり人気がありません。そのため、コルベットのロードカー、特にC3型のモデルカーは極めて種類が少なく、レジン製で作品化されている車種は、ル・マンなどのレース出走車が中心となっています。

Original Design - Mako Shark II 1965 / C3デザインの源流 - マコ・シャーク II 1965年

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Bill Mitchell
Larry Shinoda (Lawrence Kiyoshi Shinoda)
New York International Auto Show in April, 1965

Like the original Mako Shark, which foretold the styling of the second-generation Corvette, the Mako Shark II featured lines that were said to be influenced by creatures of the deep. In recognition of this, the concept bore the same blue-fading-to-gray paint seen on the original Mako Shark concept, but that’s really where the external similarities ended.

The first Mako Shark II, as shown at the New York show in January 1965, was a non-running model with the outside side pipes rising up into the front fenders. It also sported some interesting, futuristic details, such as a squared-off steering wheel.

GMは1957年にQコルベットというデザイン・スタディを行い、スティングレイ・レーサーXP-87(59年)やC2プロトタイプXP-720(60年)を経て、63年にC2型を発表します。それに先立つ61年、C2をプロモーションするショー・カーとして、シャークXP-755(改良後にマコ・シャークⅠと改名)が製作されました。GMデザイン統括のビル・ミッチェルがサメに着想を得て、日系アメリカ人のラリー・シノダがデザインしました。

さらに1965年、彼らはニューヨーク国際オートショーで、オニイトマキエイ(マンタ・レイ)とホホジロザメの要素を取り入れたコンセプトカー、マコ・シャークII(XP-830)を発表します。低く尖ったフロント・グリルに弧を描いて膨らんだ前後フェンダーは、キャビン部をくびれて見せるコークボトル・シェイプを演出しており、C2とは全く異なるフォルムでした。しかし、車体の濃紺色から灰色へと褪色する塗装は、前作マコ・シャークⅠからの正常進化形であることを主張していました。

初披露されたマコ・シャークⅡ(1号車)は実走しないモックアップのショーカーで、後に様々な車種で実用化される数々の先進技術が組込まれていました。同年10月に公開された2号車はV8エンジンを搭載する実走車で、インテリアとエクステリア共に若干の変更が加えられました。外観上最大の変化は、1号車ではフロント・フェンダー脇から四角いサイド・イグゾースト・パイプが伸びているのに対し、実走可能な2号車では車体底を通して後方に排気しています。

写真のマコ・シャークⅡは2号車で、イギリス・SMTS社のホワイトメタル製モデルカーです。1980年代から始まるGreat American Dream Machinesシリーズの1台で、2016年5月時点でも、2号車の一般販売製品としては唯一の1/43モデルカーです。

同シリーズでは1号車(黒パイプ版とクロームパイプ版の2種)も発売されたのですが、私のコレクション開始前に各75台が生産されたのみで、残念ながら購入の機会がありませんでした。お持ちの方は是非ご連絡ください。なお、2016年早々にNEO社からレジン製として初のマコ・シャークⅡ1号車が発売されました。

マコ・シャークⅡのフォルムは次期C3型コルベットに採用されましたが、空力特性など細々した調整に手間取り、C3型は当初予定の67年ではなく翌68年に登場します。デザイン・スタディとしての役割を果たしたマコ・シャークⅡは、1969年にマンタ・レイへとリデザインされます。外観上の大きな変更点は、リトラクタブル式から固定式となったヘッドライト、延伸されたリア・デッキ、ルーバーから垂直ガラスになったリア・ウィンドウ、1号車のようなサイド・イグゾースト・パイプなどです。マンタ・レイは、1/18でオートアート社からダイカスト製モデルが発売されています。

4 Stage Design Progress / 4段階のデザイン変遷

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マコ・シャークⅡのコークボトル・シェイプを、量産車として製品化したコルベットがC3型です。1968年から82年までの製造期間中に、アイデンティティとも言うべきフォルムはそのままで、大きく4段階のデザイン変更が行われています。

C3コルベット・ロードカーの1/43モデルカーは少なく、4段階のデザイン変遷を全て揃えるのは至難の業でした。同一のレジン製メーカーに、是非とも全種のC3型を製品化してもらいたいものです。白ボディで揃えたコレクションを紹介します。

1st Styling 1968-1972 / 第1期スタイリング 1968~1972年

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Notchback

第1期は前後のアイアン・バンパー、及び垂直に切り立ったリア・エンドとノッチバック式リア・ウィンドウが最大の特徴です。また、フロント・フェンダー後方の排熱口は、ホホジロザメのエラを連想させるような意匠となっています。

この年式のロードカーはモデルカーに乏しく、一番流通している製品はソリド社とビテス社のダイカスト製モデルです。写真のモデルカーは前者のライトブルー・メタリックの個体を、白外装&赤内装にリペイントし、車体色を統一した1台です。

2nd Styling 1973-1977 / 第2期スタイリング 1973~1977年

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第2期には、C3型の印象を一気に洗練化する大きなデザイン変更が行われます。前後共にアイアン・バンパーがボディと同色のウレタン・バンパーに変わり、細部の形状もシンプルにまとめられました。後方へ傾斜するリア・エンドの造形は美しく、丸形2灯テールランプの存在を引き立てています。

私が実車に出会ったのは、1996年にフランクフルト・モーターショーに出かけた時です。道路ですれ違っただけでしたがリアの印象が強烈で、そこからこの年式のモデルカーを探し始めました。写真はイタリアのウゴ・ファディーニ氏が主宰するカルト・カーズのレジン製ファクトリー・ビルト作品です。私にとって、史上最高の1/43コルベット・モデルカーです。

3rd Styling 1978-1979 / 第3期スタイリング 1978~1979年

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第3期の始まる1978年はコルベット誕生25周年に当たり、リア・ウィンドウのデザインがノッチバック式から、曲面一枚ガラスのファストバック式へと変更され、上部シルバー・下部ダークグレーのツートン・カラーの記念車が発売されました。同年、上部ブラック・下部シルバーの特別車が、インディ500のペースカーを務めています。

1/43モデルカーでは、カルト・カーズの素晴らしいファクトリー・ビルト作品が存在しています。写真はダイカスト製の25周年記念モデルを、白外装&赤内装にリペイントし、第1期モデルと同じく、私のC3コレクションに車体色を統一した1台です。カルト・カーズの同年式モデルカーは20年近く探し続け、遂に2015年に購入できました。機会を見て紹介します。

4th Styling 1980-1982 / 第4期スタイリング 1980~1982年

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Silver-Beige

第4期になると、吸気と空力を向上させるため、チン・スポイラーと吸気口を大型化し、ボディ一体成型のリア・スポイラーが設けられました。迫力は増しましたが、取って付けたような処理が、マコ・シャークⅡから続くC3本来の美しいフォルムを少し損ねる結果となりました。C3型最後の年式となる1982年には、コレクター・エディション・パッケージというシルバー・ベージュ色の特別車が発売になりました。

写真のモデルカーは、イタリア・FDS社のレジン製キットをプロ・モデラーに製作してもらったハンド・ビルト作品です。この年式のレジン製ロードカー・モデルは、私の知る限りこの1種です。少しロングノーズ過ぎる気がしますが、シャープな造形はレジン製ならではです。ホワイトメタル製では、イギリスのウェスターン・モデル社から、コレクター・エディションも含めてファクトリー・ビルト作品が数色発売されています。

Greenwood Corvette / グリーンウッド・コルベット

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brothers Burt and John Greenwood

Legendary Corvette racer and engine and car developer John Greenwood passed away at the age of 70. His passion for improving Corvettes drove him throughout his life.

C3型コルベットは、約15年間で54万台以上が製造・販売されました。その中には、オーナー思い思いの改造車、例えばレース用のチューニング車や、外観だけのドレス・アップ車なども含まれます。ここでは、最も本格的なカスタム・コルベットである、グリーンウッド作品(ロードカー)を紹介します。グリーンウッドは、ジョンとバートのグリーンウッド兄弟が興した、コルベット専門のエンジニアリング会社です。

1945年4月5日生まれのジョンは、自らチューンしたC3型コルベットを駆り、デイトナやル・マンなど主に70年代のレースで活躍します。彼の、ワイドボディを特徴とする機能的で魅力的なモディフィケイションは、レースカーのみならずロードカーにも施されています。C3コルベット・ファンにとって伝説的存在であったジョン・グリーンウッドは、ファンに惜しまれつつ2015年7月7日に永眠しました(享年70)。

Corvette Greenwood Datona 1981 / コルベット・グリーンウッド・デイトナ 1981年

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ジョンは80年式コルベットをベース車として、IMSA(国際モータースポーツ協会)のレギュレーションを拡大解釈したハイパフォーマンス・ロードカーを製作します。この最も過激な空力ボディを架装したC3コルベットはデイトナと呼ばれ、80年に1台、81年に4台が製作されました。

1/43モデルカーでは何故かイタリア・ブランドのレジン製だけで、カルト・カーズ社、リメンバー社、トップ・モデル社などが製品化しています。特にリメンバーは、ジョンが初期から好んで用いていたアメリカ国旗のカラーリング車など、複数のカラー・バリエーションで商品展開しています。

Corvette Greenwood Superturned / コルベット・グリーンウッド・スーパーチューンド

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Remember, Cult Cars, Kentucky Legend

まず、本作品のクリエイターは、ケンタッキー・レジェンド社というアメリカのメーカーです。アメリカでレジン製1/43モデルカー・メーカーは珍しく、しかもグリーンウッドの数々のレア車種を製品化しています。日本国内では一般流通していないマイナー・メーカーですが、品質はカルト・カーズ作品並みです。

実車は、グリーンウッドが紹介している作品群の中に発見できませんでしたが、フロント・バンパーやノッチバック式リア・ウィンドウから、ベース車は第2期のC3型だと分かります。ワイドなリアに6灯テール・ライトが特徴的で、デイトナとはまた風格が違います。稀少なコルベット・コレクションの1台です。

Personal View
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私的見解
C3コルベットは、私が小学生の頃の車です。当時はスーパーカー・ブームで、自動車専門誌では第2期スタイリングのC3が中心でした。ロングノーズ・ショートデッキ形よりミッドシップ形が好きでしたが、フロント周りの絶妙なデザイン・ワークには特別な魅力を感じていました。その1/43モデルカーを本気で収集し始めたのは、先述の実車に遭遇した96年(20年後)以降です。その後20年を経ても、私のC3プロジェクトはまだ完結していません。

Topics / 新着情報

2017.02.06

第7章「博物館」・全4節を新規掲載

遂に全7章(日本語コンテンツのみ)の執筆を完了。英日対訳の日本語部分だけで約1年半かかってしまった。意図的に先延ばした箇所があるものの、何とか最後までたどり着いた。拍手!拍手!

2017.01.15

「車種リスト」ページを新規掲載

本編ページに掲載したモデルカー作品を検索するための、アルファベット順車種リストページを作成

2017.01.09

第6章・第5節「製品化要望」を新規掲載(第6章完了)

第4節の掲載から3箇月以上間隔が開いてしまったが、モデルカーを過去・現在・未来の時間軸を通して考察することができた。主要な日本語コンテンツとしては、第7章の「博物館」を残すのみ。

Headmaster / 学院長

1965(昭和40)年生まれ射手座A型のスーパーカーブーム直撃世代。小学高学年でガンディーニ・デザインに魅了される。
時を経て1990年、ロンドン駐在時に英国製の1/43精密モデルカーに出会い収集を始める。1998年の帰国後は、国内の専門ショップに収集拠点を移し、現在に至る。
スーパーカーを主軸とするロードカー・2ドアクーペに車種を限定することで、未組立キットを含め約5000台を収集。
モデルカーの認知拡大、コレクターへの支援、業界の充実発展を願い、主力3700台を『世界モデルカー博物館』に展示。
同時に、展示作品の愉しみ方を解説する本サイト『モデルカー学』を開講。現在も「コレクター道」を実践・追究している。

―2015年5月現在―

2017年6月末に英国ロンドンへ再赴任し、現在ロンドンから欧州の様々な情報をブログとFacebookで配信中。

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