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① 準備編〔工具〕                                How to Build 1/43 Kit

組立方法   準備編〔工具〕 準備編〔キット〕 組立編〔仮組み〕 塗装編〔下塗り〕 塗装編〔本塗装〕 組立編〔仕上げ〕
第5章 第3節 第1項

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                                    Article provided by

■ はじめに

自動車、飛行機など特にジャンルに関わらず、今までにプラキットを作ったことのある方なら、1/43スケールのメタル・レジンキットも比較的簡単に作ることが出来ます。

メタル・レジンキットと聞くと経験の無い方には近寄りがたいかもしれませんが、プラキットを完成させる技術をお持ちであれば何も難しくは無いのです。確かに国産のプラキットのように簡単にはいきませんが、ちょっとバリが多くて、工作途中にいわゆる「仮組み」という工程を加えるだけでいいのです。

なにしろ自分で手を動かして作ることの最大のメリットは、ボディカラーや各部のディティールなど、自分の好きなようにすることができる、ということにあります。量産の完成品では発売されることのない、マニアックな車種もたくさんあります。

コレクターからビルダーへ、ハンドメイドの世界を体験してみませんか。

■ 工具

大きな改造だとかより実車に近付けるための細かいディティールアップを施す為には様々な工具が必要になりますが、そういうものをいきなり揃えるのは大変ですし、第一何が要るのか分からない方も多いでしょう。

工具はまず必要最小限のもののみ用意して、その他のものは必要に応じて少しずつ揃えていきましょう。また、過去にモデル製作の経験がある方なら、これら工具は既にお持ちかもしれませんね。

 ピンセット

先端が曲がったツル首タイプが使いやすくていいと思います。模型専用でなくてもいいですが、安物はすぐに先端がずれてしまって、つまんだときに部品を飛ばして紛失してしまいます。部品捜索には多大なエネルギーを必要としますし、なによりがっくりとテンションが下がりますのでしっかりしたものを用意します。

先端の細いものと少し太いもの(デカール貼りに使う)があると便利です。

組立01

工具の一部です。下からケガキ針、カッターナイフ、デザインナイフ。上の2本は精密ドライバーの先端を加工して作った極少のノミです。細部の加工などに便利です。

 ピンバイス

小型の手回しドリルです。穴あけ用に一つ用意します。キリは0.5mm~3mmくらいまでのものがセットになったものをまずは用意します。0.5mm以下のものも揃えるといいですが、よく折れますので消耗品と考えたほうがいいでしょう。

ピンバイス。0,5mmくらいまでのキリなら左側の少し大きなもの、0.5mm以下の細いキリの場合は右側の小さなタイプを使用します。まずは左側のものがあれば充分です。

組立02

 組やすり

平・丸・半丸・四角・三角あたりが組になった細工やすりを用意します。細かい部分を削ることが多いので、細いものがいいでしょう。模型用のものもありますがホームセンターなどで売っているものでも十分です。

 サンドペーパー

下地作りから磨きまで、使用頻度が最も高いアイテムと思われます。とりあえずは#400くらいの荒目から#2000くらいの細目が数枚ずつセットになったものを用意します。

 ノーズプライヤー

ちょっとした金属パーツを曲げたり、細かいパーツの作業をするときにこれにつかんで作業したりします。

 ニッパ

43キットのパーツにはエッチングと呼ばれる金属板のパーツやホワイトメタルのパーツがたくさんあります。これらをカットする為に一つ用意します。なるべく小型で、必ず金属用のものを用意します。プラキット用のものでも何とかなりますがすぐに刃こぼれしてきます。

組立03

ノーズプライヤーとニッパ。精度のよいものを購入しておくと長く使えます。リターンスプリングが付いてると使いにくいので、私は外してしまいました。

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エッチング用のハサミ。小型で取り回しも良く、細かな部分のカットに使います。写真は模型用として販売されているものですが、同等の性能を持った一般のものでももちろん大丈夫です。

とりあえずこのくらいあれば充分です。工作の技術が向上してくるにつれてもっと色々欲しくなってきますが、いい工具は結構いい値段がしますので一気に揃えようとするとキットの2個や3個は買える位の出費になってしまいます。長く続ける趣味と考えてあせらずゆっくり揃えていきましょう。

あと、工具はいかに使い易いかが最も重要ですが、買ってきたままの状態ではやや使いにくい時もあります。そういう時は目的にあったように加工したり、身の回りのちょっとしたものを利用して工具を作ったりすることもあります。要はアイデアと工夫次第ですね。

■ 塗料

塗装工程の殆どはエアブラシを使いますが、エアブラシを使う場合はコンプレッサーやドレーンフィルタ等の周辺機器も必要になってきますので、とりあえずはパスしましょう。

そうなると必然的に缶スプレーを使うことになりますが、複雑な形状のものでなければ充分に塗装が可能です。

 下地用プラサフ

プライマー&サフェーサーと呼ばれる下地用の塗料です。レジンやメタルキットの場合いきなり塗装する事はできませんので、まずはこれを塗装します。本来食いつきを良くするためのプライマーと表面を整えるサフェーサーは別のものですが、現在はこれを混合させたプラサフと呼ばれるものが殆どです。

実車用に販売されているソフト99のラッカープラサフが最も手軽でいいでしょう。カーショップで入手可。

A

ソフト99のラッカープラサフとクリアー。カーショップやホームセンターで販売されています。ラクーンオートにも在庫あり。今回の製作ではこれを使用してみます。

組立05
組立06

 上塗り用

これは模型屋さんで販売しているものでOKです。下塗り用にホワイトを、シャーシ用につや消しのブラックを各々一本買っておきましょう。



上塗り用塗料。今回はタミヤカラーのなかから
TS-7
レーシングホワイトとTS-8イタリアンレッド
を使用します。

 クリアコート用

上塗り塗装だけでも仕上げる事は可能ですが、よりピカピカに仕上る為にはクリアコートすることが効果的です。

特にたくさんデカールを貼るレーシングカーの場合はデカールのつやはイマイチですし、クリアコートすることでデカールの段差を無くし、ツルツルにすることが出来ます。また、コートすることでモデルの塗装が経年劣化することを防止することも出来ます。

クリアー塗料も色々ありますが、模型用のものでもいいですし、ソフト99のクリアーも結構プロが愛用していたりします。

 筆塗り用

室内やちょっとしたディティールの塗装に使う為に、筆塗り用の塗料を用意します。これもラッカー系のもの、水性アクリル系のもの、エナメル系のものとありますが、メタリックカラーの発色が良いエナメル系が良いでしょう。

つや消しブラック・半つや(セミグロス)ブラック・シルバー・メタリックグレイとランプレンズなどに塗るクリアーレッド、クリアーオレンジあたりがあれば大丈夫と思われます。

エナメル塗料はラッカーシンナーでも溶けますが、専用の薄め液も一ビン買っておくと良いです。

■ ラッカー塗料とウレタン塗料

これらボディ関係用の塗料には大別してラッカー系とウレタン系があります。

ラッカー系の塗料は塗料の中のシンナーが揮発乾燥することで顔料と樹脂が固まる塗料で、エッジがシャープに仕上がる、手軽に使える、といった長所がある反面、完全に乾燥するまでに時間がかかる、つやが出難い、含まれるシンナーがデカールを侵したり、乾燥することで塗装が収縮する為クリアコートには注意が必要、乾燥後も溶剤が付着すると溶ける(これはある意味長所でもありますが)といった短所もあります。

これに比べ、ウレタン塗料は主剤に硬化剤を加えて使う塗料で、主剤と硬化剤が化学反応を起こして固まります。このため、ラッカーと比較すると良好なつやが出る、含まれるシンナー分がごく僅かな為、デカールを侵す心配が殆ど無い、一旦硬化すると溶剤でも溶けない、といった長所があります。

但 し、主剤と硬化剤を正確に計量して混ぜる必要がある、塗装にはエアブラシが必須(一部缶スプレーで市販されてるものもありますが、缶の中で主剤と硬化剤を 混ぜてしまうので、塗装後に放置しておくと固まってしまい、使えなくなってしまう)、塗料の価格が高いといった短所があります。

どちらも一長一短がありますので最終的には目的に応じて使い分けることになりますがまずはコストパフォーマンスに優れ、手軽に使えるラッカー塗料を使ってみるといいと思います。

筆塗り用エナメル塗料。ハンブロールなどの海外ブランドのものもありますが、タミヤのものが最も入手しやすく一般的です。今回製作するBBRやタメオなどの組み立て説明書(インスト)でもタミヤカラーのカラーコードで塗装指示がされています。

ラッカー系のビン入り塗量。もちろんこのまま筆塗りにも使えますが、殆どの場合は薄めてエアブラシ塗装に使います。左2つはクレオスのもの、右2つはフィニッシャーズのものです。クレオスの製品は模型店で入手できます。フィニッシャーズのものは少し一般的ではありませんが、ラクーンオートでも取り扱っています。

■ 接着剤

接着するパーツに応じて用意します。まずは瞬間接着剤。市販されてる一般的なものでOKです。

お勧めはアロンアルファの対衝撃EXTRA。他のものより白化(瞬間接着剤特有の接着部付近が白く曇ってくる現象)が殆どありません。次に一般的な合成ゴム系の接着剤。クリアボンド等の商品名でコンビニでも入手可。必ず透明のものを用意します。ちょっとしたパーツの固定に使います。

ガッチリ接着したい部分に使うのはエポキシ接着剤。2液を混合する事で硬化します。硬化時間は短いもので1分、長いものでは60分以上のものがありますがとりあえず5分タイプがあればいいでしょう。

ウィンドゥなどのクリアパーツの接着には上記のクリアボンドをシンナーで薄めて使ったりすることも出来ますが、出来れば専用品を購入します。いくつかの43キットメーカーが発売していますので、ショップに問い合わせてみるといいと思います。

とりあえず用意したい接着剤です。右上から瞬間接着剤・5分型エポキシ接着剤(A剤・B)・クリアボンド。上の小さなボトルはトロン製のウィンドウパーツ用クリアー接着剤。サラサラの液状で使いやすく、仕上がりもきれいです。

■ コンパウンド

ボディなどの塗装面を磨き、段差を消したりつやを出したりするのに使います。まずはこちらも模型専用品がいいと思います。細かさの違うものがいくつかセットになったものがありますのでこれを購入しておきます。

模型用のコンパウンド。上の3本はヴェルサスのもので、目の細かさ別の3種類です。下のチューブ入りのものなどもあります。コンパウンドは色々なメーカーから発売されていますし、場合によっては実車用のものも使います。徐々に色んなものを試すと良いでしょう。

組立10

■ 筆

模型専用のものでなくても良いですが、出来ればコシがしっかりとした長持ちしそうなものを選びます。

平筆、面相筆極細の3本があれば充分です。筆先が長すぎる場合は使いやすい形に切り揃えます。

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