Chapter 1 - Section 4
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第1章 第4節
塗装済みの外観からは判別しづらいですが、モデルカーの主要素材には複数の種類が存在します。一般的に市販されている商品では、ホワイトメタル、レジン、ダイカスト、プラスチックの4種類でほとんどが構成され、それぞれが持つ異なる特徴によって、作品としての個性が形成されています。
Description
Autozam was one of five sales channels of Mazda in 1990s and a new marque of Kei & small cars of the time. AZ-1 stands for the smallest car of Autozam. Suzuki-sourced 675cc straight 3 turbocharged engine is midshipped and the body is covered by plastic panels equipping gullwing doors. It looks like a miniature supercar. According to the recession of Japan, only approximately 4,400 AZ-1 were produced during 1992 to 95. The model car is its Mazdaspeed version with special aeroparts and created by LSJ, standing for Looksmart Japan, currently Eidolon of Make Up in Tokyo.
作品解説
オートザムとは1990年代にマツダが展開した5チャンネル販売網の一つで、当時の軽・小型自動車のブランド名です。その頭文字と最小クラスの意味から、AZ-1と命名されました。スズキ製の直3ターボ・エンジンをミッドに搭載し、特殊プラスチック製の外装やガルウィングを装備した、スーパーカーのミニチュア版といった趣です。しかしバブル崩壊などで、1992~95年に約4400台と販売が振るわず、生産が早期終了されました。写真のモデルカーは、1991年にル・マン24時間耐久レースで総合優勝を果たした旧・マツダスピード(マツダ系のモータースポーツ会社)のエアロパーツを装着した、1993年発表の特別仕様車です。東京青山の老舗モデルカーショップ・メイクアップが展開していたLSJ(現・アイドロン)の製品です。
Progress of Moulding Technology / 進化する造形技術
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モデルカーは、車の部位によって金属、ゴム、プラスチックなど複数の素材を組合せて1台を構成しますが、最も主となる車体(エクステリア)の素材は、大きくホワイトメタル、レジン、ダイカスト、プラスチックの4種類に分かれています。高い造形精度が求められるに従い、適した材質が発展し、主軸が移行しています。一流モデラーによるフルスクラッチ(完全自作)モデルやフル開閉への改造モデルでは、他の金属が用いられる場合もありますが、ここでは例外としておきます。
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ホワイトメタルはスズと鉛などの合金で、融点が400度以下と低い低融点金属です。流動性が高いことからシリコンゴム型との相性が良く、細かい部分まで成形できるため、精密モデルカーの黎明期を支えた素材でした。
AMR(写真)を始めとして、数多くのクリエイター達がホワイトメタル製の名作を世に送り出しましたが、1990年代後半から主軸がレジンに移行し、2000年代の間にホワイトメタル製の新作キットや完成品はかなり減少しました。
柔らかいとは言え金属ですので、ズッシリした重量感があり、ホワイトメタル作品の大きな特長となっています。その一方で、重量があだとなり輸送時に振られて破損する危険性が高く、梱包時はモデル本体の固定に注意を要します。
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レジンとは合成樹脂のことで、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂など、複数の材料があります。主剤と硬化剤と呼ばれる2種類の液を混ぜることで化学反応が起こり、常温常圧で凝固・硬化します。金属より軽いのはもちろん、細かくシャープな造形に適しており、精巧度の向上に寄与しています。
金型や大掛かりな生産装置が不要なので初期投資は少なく済みますが、シリコン型へのレジン注入や成形後に取出す作業などは、1台1台全て手作業で行わなければならず、大量生産には不向きです。そのため、1台当たりの製造コストは高くつき、ダイカスト製モデルより総じて高額です。
BBR(写真)を始めとして、プロバンス・ムラージュやスターター、ヘコやアレザンなど、数多くの欧州クリエイター達が極少量生産で魅力的なキットや完成品を数多く生み出してきました。2000年代後半からキット・メーカーの勢いに陰りが出始めましたが、彼らの魅力的な作品群があったからこそ、モデルカー業界は発展期を迎えることができました。
モデルカーの精巧度が増した分だけ、脆い精密部品が増加し、アンテナ、ワイパー、サイドミラー、ウィンドウ、ホイール、各エッチングパーツなど、少し触れただけで破損する危険性があり、取扱いには細心の注意を払う必要があります。
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ダイカストとは、亜鉛合金やアルミ合金など非鉄金属による合金を指し、ホワイトメタルよりも硬い特性があります。ダイカスト鋳造は、もともと工業分野において大量生産のために開発された技術で、ダイカストマシンで原材料を金型に充填し、製品を鋳造します。初期投資が大きい代りに、1台当りの単価はホワイトメタルやレジン製品より格安に抑えられます。ただし、金型は細密な造形が不得意という欠点があります。
ブリキ玩具からの技術革新を経て、ダイカスト製のミニカー玩具が登場しました。1970年代後半のスーパーカー・ブームの頃が、1/43ミニカーの全盛期ではなかったでしょうか。1990年代になると、中国に生産を移転した格安かつ精巧なミニチャンプス(ポールズ・モデル・アート社:1991年設立)のダイカスト製モデルカーが登場し、“14歳未満は不適切”を謳って大人の美術工芸品としての認知度を高めました。
もともとミニチャンプスは、ドイツのダンハウゼンという老舗ショップの一ブランドであり、後にAMRを興すアンドレ・マリー・ルフ(1975~2004)も原型師を務めていました。ホワイトメタル時代に培われた原型師達の高い造形力が、ダイカスト製モデルカーの品質基盤を形成しています。
写真のモデルは日本の京商が発売した、セミ開閉のダイカスト製フェラーリF40です。単独では素晴らしい作品ですが、レジン製モデルと並べてみると、ついエッジの甘さが気になってしまいます。
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プラスチックとは、人工的に数多くの分子を結合させて形成した合成樹脂(高分子物質)で、熱や圧力などによって任意の形に加工・成型できる性質(可塑性)を持っています。“造形できる”という意味のギリシャ語「plastikos」が語源です。
プラスチックの種類は数多くありますが、プラモデルやモデルカーに用いられる素材は、主にポリスチレン(スチロール樹脂)です。2010年代半ばから、ダイカスト製が中心だったミニチャンプスで、プラスチックの一種であるABS製モデルが発売され始めましたが、ここで紹介するプラスチックというより、レジンの代替素材という位置づけです。
写真は1990年代前半の、所謂スーパーカー第二黄金期にドイツの鉄道模型メーカー・ヘルパが発売した、プラスチック製フル開閉モデルのフェラーリF40です。組立キットもありました。非常に良く構成されていますが、色が塗装ではなく、プラスチックの成型色のままなのが難点です。同様に日本のプラモデル・メーカーであるフジミ模型も出していました。
ダイカスト製と同じく、プラスチック製も金型を用いた大量生産方式のため、絶大な人気があって大量販売できる車種でなければ製品化されません。そのため、プラスチック製フル開閉モデルは、当時の数年間だけ存在した作品でした。
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