Basic/基礎知識 Definition/定義 | ▼ | Commodity/商品形態 | Materials/素材 | Scale/縮尺

Precision / 精巧度

Chapter 1 - Section 2

English Text Coming Soon

第1章 第2節

モデルカーは実車の纏う造形美と秘められた物語、組み込まれたエンジニアリングの粋などを、例えば1/43という非常に小さい縮尺で再現します。実車の魅力を縮小表現するために不可欠な手段が、精巧度の追求です。モデルカーの技術革新は、材質や生産方法だけでなく、何をどう精巧に再現するかというクリエイターの挑戦心によって実現されます。

Artwork: Lamborghini Jota (Original J) 1970
ランボルギーニ・イオタ (オリジナル J ) 1970年

Description
Bob Wallace, an engineer of Miura, started creating a one-off test car in 1969. The car is now called the "Original J" of Jota. "J" stands for the FIA's Appendix J racing regulations. Jota is derived from Spanish pronunciation of the letter "J". Wallace re-designed Miura and reduced weight using aluminium parts that were reinforced by many rivets. In addition, front lights, chin spoiler, wide rear fender and wheels were modified. As a racing car, both cowls open off the body. The model car is 1/43 full open-close resin factory built model by MR Collection, Italy. Its quality is so marvellous as  to come and see the actual model in the World Model Car Museum.

作品解説
ミウラ開発チームの一員であったテストドライバーのボブ・ウォレスが、1969年から製作したワンオフのレース仕様車が、現在「オリジナルJ」と呼ばれているイオタです。「J」というのは、FIA(国際自動車連盟)の競技規定付則J項を指し、そのプロトタイプ・クラス車両規則を満たす実験車両という意味です。イオタとはラテン文字「J」のスペイン語発音に由来します。ミウラから各部が設計変更され、アルミ等で軽量化も図られたため、破損防止のリベットが数多く打たれています。他にも、固定式ヘッドライトや張り出したリアフェンダー、チンスポイラーやホイールなどが主な外観上の違いで、前後カウルはレースカーのように分離します。モデルカーはイタリア・MRコレクションによる1/43フル開閉のレジンファクトリービルトです。シャープな造形と精密さは一見の価値があります。世界モデルカー博物館で、是非実物をご覧になってください。

Downsized Precision Details / 縮小再現した精密造形

Progress of Die-cast Model / ダイカスト製モデルの進化

English Text Coming Soon

1970年代後半、日本で巻き起こったスーパーカーブームに後押しされ、国内メーカーから数々のダイカスト製ミニカーが発売されました。

フォルムは悪くなく、リトラクタブルライトやガルウィング、エンジンカバーや前後カウルなどが可動し、スーパーカーの魅力に触れたい子供達にとって夢の玩具でした。写真のサクラ社製ミウラは、実際に私が遊び倒した1台です。

それから30数年、モデルカー市場の成熟と技術革新により、精巧度は格段に進化しました。同じミウラのフル開閉モデルを紹介します。当然価格差はありますが、それを上回るレベルでミウラの魅力が再現されていることは一目瞭然です。

Late 1970s / 1970年代後半
1/43 Lamborghini Miura by Sakura, Japan / 日本のサクラ社製ランボルギーニ・ミウラ
Over 30 years later, Early 2010s / 30数年後の2010年代前半
1/43 Lamborghini Miura by Autoart, Hong Kong / 香港のオートアート社製ランボルギーニ・ミウラ

 Full Open Close Model

English Text Coming Soon

 フル開閉モデル

精巧さを最大限に発揮できるモデルカー様式がフル開閉モデルです。しかし、実現のハードルは高く、設計・製造・組立すべての工程で高い技術力が要求されます。その分、高い完成度に仕上がったモデルは、実車の魅力を圧倒的な3D情報量で再現することができます。

フル開閉モデルの素材は作品によって異なり、ホワイトメタル、レジン、ダイカスト、プラスチックと様々で、それぞれに特徴がありますが、いずれも作品数は限定されています。モデルカーの中でも数少ない特別な作品群です。

Easy Check Points / 簡単な品質チェックポイント

English Text Coming Soon

全体のフォルムや塗装品質は一目瞭然ですが、それ以外でダイカスト製モデルカーの品質を簡単に識別できるポイントを紹介します。逆に言えば、安価なモデルでもこれらのポイントを上手く押さえておけば、そこそこの品質に仕上がります。

 Glass Parts (Windows & Headlights)

English Text Coming Soon

 ガラス部分(窓やヘッドライト)

ウィンドウ・シールドやヘッド&テール・ライトなど、実車で透明素材の部分は、モデルカーでも本体と異なる素材で再現されます。そのため、窓の部品は本体に隙間なく正確に取付けられているか、ヘッドライトはライトカバーと別パーツで構成されているか等を確認します。特にヘッドライトは車の顔の重要パーツですので、手を抜くと作品が台無しになります。

 Protruded Parts (Wipers & Side Mirrors)

English Text Coming Soon

 突起した部分(ワイパーやサイドミラー)

コストや手間を省くため、真っ先に手を抜かれる部分が、ワイパーやサイドミラーなどの突起物です。安価なモデルでは、往々にしてワイパーが無いか、フロント・ウィンドウにモールドで表現されています。精密モデルカーでは、ワイパーがエッチングパーツによって立体的に構成され、サイドミラーの形状や鏡面、取付け角度などが丁寧に再現されています。

 Chassis Parts (Wheels & Tires)

English Text Coming Soon

 足回り部分(ホイールやタイヤ)

靴がみすぼらしいとファッションが決まらないように、自動車にとってホイールとタイヤは、全体のフォルムを引き締める重要な役割を担います。安価なモデルには立体感が無く、精巧なモデルではホイールの立体的造形やディスク・ブレーキが再現されています。タイヤとホイールアーチの間に無駄で不均一な隙間が無いことも、品質を左右するポイントです。

Basic/基礎知識 Definition/定義 | ▲ | Commodity/商品形態 | Materials/素材 | Scale/縮尺

Topics / 新着情報

2017.02.06

第7章「博物館」・全4節を新規掲載

遂に全7章(日本語コンテンツのみ)の執筆を完了。英日対訳の日本語部分だけで約1年半かかってしまった。意図的に先延ばした箇所があるものの、何とか最後までたどり着いた。拍手!拍手!

2017.01.15

「車種リスト」ページを新規掲載

本編ページに掲載したモデルカー作品を検索するための、アルファベット順車種リストページを作成

2017.01.09

第6章・第5節「製品化要望」を新規掲載(第6章完了)

第4節の掲載から3箇月以上間隔が開いてしまったが、モデルカーを過去・現在・未来の時間軸を通して考察することができた。主要な日本語コンテンツとしては、第7章の「博物館」を残すのみ。

Headmaster / 学院長

1965(昭和40)年生まれ射手座A型のスーパーカーブーム直撃世代。小学高学年でガンディーニ・デザインに魅了される。
時を経て1990年、ロンドン駐在時に英国製の1/43精密モデルカーに出会い収集を始める。1998年の帰国後は、国内の専門ショップに収集拠点を移し、現在に至る。
スーパーカーを主軸とするロードカー・2ドアクーペに車種を限定することで、未組立キットを含め約5000台を収集。
モデルカーの認知拡大、コレクターへの支援、業界の充実発展を願い、主力3700台を『世界モデルカー博物館』に展示。
同時に、展示作品の愉しみ方を解説する本サイト『モデルカー学』を開講。現在も「コレクター道」を実践・追究している。

―2015年5月現在―

2017年6月末に英国ロンドンへ再赴任し、現在ロンドンから欧州の様々な情報をブログとFacebookで配信中。

検索