Chapter 1 - Section 2
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第1章 第2節
モデルカーは実車の纏う造形美と秘められた物語、組み込まれたエンジニアリングの粋などを、例えば1/43という非常に小さい縮尺で再現します。実車の魅力を縮小表現するために不可欠な手段が、精巧度の追求です。モデルカーの技術革新は、材質や生産方法だけでなく、何をどう精巧に再現するかというクリエイターの挑戦心によって実現されます。
Description
Bob Wallace, an engineer of Miura, started creating a one-off test car in 1969. The car is now called the "Original J" of Jota. "J" stands for the FIA's Appendix J racing regulations. Jota is derived from Spanish pronunciation of the letter "J". Wallace re-designed Miura and reduced weight using aluminium parts that were reinforced by many rivets. In addition, front lights, chin spoiler, wide rear fender and wheels were modified. As a racing car, both cowls open off the body. The model car is 1/43 full open-close resin factory built model by MR Collection, Italy. Its quality is so marvellous as to come and see the actual model in the World Model Car Museum.
作品解説
ミウラ開発チームの一員であったテストドライバーのボブ・ウォレスが、1969年から製作したワンオフのレース仕様車が、現在「オリジナルJ」と呼ばれているイオタです。「J」というのは、FIA(国際自動車連盟)の競技規定付則J項を指し、そのプロトタイプ・クラス車両規則を満たす実験車両という意味です。イオタとはラテン文字「J」のスペイン語発音に由来します。ミウラから各部が設計変更され、アルミ等で軽量化も図られたため、破損防止のリベットが数多く打たれています。他にも、固定式ヘッドライトや張り出したリアフェンダー、チンスポイラーやホイールなどが主な外観上の違いで、前後カウルはレースカーのように分離します。モデルカーはイタリア・MRコレクションによる1/43フル開閉のレジン製ファクトリービルトです。シャープな造形と精密さは一見の価値があります。世界モデルカー博物館で、是非実物をご覧になってください。
Downsized Precision Details / 縮小再現した精密造形
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1970年代後半、日本で巻き起こったスーパーカーブームに後押しされ、国内メーカーから数々のダイカスト製ミニカーが発売されました。
フォルムは悪くなく、リトラクタブルライトやガルウィング、エンジンカバーや前後カウルなどが可動し、スーパーカーの魅力に触れたい子供達にとって夢の玩具でした。写真のサクラ社製ミウラは、実際に私が遊び倒した1台です。
それから30数年、モデルカー市場の成熟と技術革新により、精巧度は格段に進化しました。同じミウラのフル開閉モデルを紹介します。当然価格差はありますが、それを上回るレベルでミウラの魅力が再現されていることは一目瞭然です。
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精巧さを最大限に発揮できるモデルカー様式がフル開閉モデルです。しかし、実現のハードルは高く、設計・製造・組立すべての工程で高い技術力が要求されます。その分、高い完成度に仕上がったモデルは、実車の魅力を圧倒的な3D情報量で再現することができます。
フル開閉モデルの素材は作品によって異なり、ホワイトメタル、レジン、ダイカスト、プラスチックと様々で、それぞれに特徴がありますが、いずれも作品数は限定されています。モデルカーの中でも数少ない特別な作品群です。
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全体のフォルムや塗装品質は一目瞭然ですが、それ以外でダイカスト製モデルカーの品質を簡単に識別できるポイントを紹介します。逆に言えば、安価なモデルでもこれらのポイントを上手く押さえておけば、そこそこの品質に仕上がります。
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ウィンドウ・シールドやヘッド&テール・ライトなど、実車で透明素材の部分は、モデルカーでも本体と異なる素材で再現されます。そのため、窓の部品は本体に隙間なく正確に取付けられているか、ヘッドライトはライトカバーと別パーツで構成されているか等を確認します。特にヘッドライトは車の顔の重要パーツですので、手を抜くと作品が台無しになります。
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コストや手間を省くため、真っ先に手を抜かれる部分が、ワイパーやサイドミラーなどの突起物です。安価なモデルでは、往々にしてワイパーが無いか、フロント・ウィンドウにモールドで表現されています。精密モデルカーでは、ワイパーがエッチングパーツによって立体的に構成され、サイドミラーの形状や鏡面、取付け角度などが丁寧に再現されています。
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靴がみすぼらしいとファッションが決まらないように、自動車にとってホイールとタイヤは、全体のフォルムを引き締める重要な役割を担います。安価なモデルには立体感が無く、精巧なモデルではホイールの立体的造形やディスク・ブレーキが再現されています。タイヤとホイールアーチの間に無駄で不均一な隙間が無いことも、品質を左右するポイントです。
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