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Peter Stevens / ピーター・スティーブンス氏

Designers   Fissore  Gandini  Giugiaro  Pininfarina  Scaglione  Spada  Stevens  Wallace  Zagato

Professor of British Automobile Design / イギリスの自動車デザイン・プロフェッサー

Chapter 6 - Section 2 - Subsection 7

English Text Coming Soon

第6章 第2節 第7項

スーパーカー黎明期からの約半世紀、著名なデザイナーはそのほとんどがイタリア人でした。そういう環境にあって、彼らの作品にも引けを取らない美しいスタイリングを施すイギリス人カー・デザイナーが居ます。ピーター・スティーブンスです。

ピーターの名声と知名度を決定的にしたスーパーカーは、南アフリカ出身のゴードン・マレーと共に創り上げた究極のロードカー・マクラーレンF1です。その印象が強烈ですが、他にもピーターならではの名作は数々存在しています。

Basic Information about the Designer / デザイナーの基本情報

Personal Profile / 人物プロフィール
Name / 氏名Peter Stevensピーター・スティーブンス
Born / 生誕2 August, 1943, England, U.K.1943年8月2日、イングランド、イギリス
Occupation / 職業Vehicle Designer, Design Consultant,
Visiting Professor of Vehicle Design at RCA (Royal College of Art, 1999-2015)
自動車デザイナー、デザイン・コンサルタント、
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の自動車デザイン客員教授(1999~2015年)
Career / 経歴
1973 Ogle Design, Senior Designer
1974 RCA, Part-time Lecturer in Vehicle Design
1976 Peter Stevens Design, Founder
1973年 オーグル・デザイン、シニア・デザイナー
1974年 RCA、自動車デザイン非常勤講師
1976年 ピーター・スティーブンス・デザインを創設
1985 Lotus Cars, Chief Designer
1989 Designs Jaguar XJR15
1990-1993  McLaren Cars, Chief Designer
1993 Returns to Peter Stevens Design
1999 RCA, Visiting Professor in Vehicle Design
1985年 ロータス・カーズ、チーフ・デザイナー
1989年 ジャガーXJR15をデザイン
1990~93年 マクラーレン・カーズ、チーフ・デザイナー
1993年 ピーター・スティーブンス・デザインに復帰
1999年 RCA、自動車デザイン客員教授
2000 MG Rover, Director of Product and Design
2011 Incorporation of Peter Stevens Design LLP (Limited Liability Partnership)
2014-15 RCA, Visiting Professor at Vehicle Design Course
2014 Principal Designer at Peter Stevens Design LLP
2000年 MGローバー、製品&デザイン・ディレクター
2011年 ピーター・スティーブンス・デザインをLLP (リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)化
2014~15年 RCA、自動車デザインコース客員教授
2014年 ピーター・スティーブンス・デザインLLPの首席デザイナーに就任
Awards /
受賞歴
1991 The Prince Phillip Prize for Designer of the Year (runner up)
1991 British Design Award by Design Council for Lotus Elan
1994 RCA Award: 21 Years of Vehicle Design and Teaching
2001 Worshipful Company of Carmen VIVA Award for Design Education
2002 Autocar Magazine Designer of the Year
2003 The Prince Phillip Prize for Designer of the Year (runner up)
1991年 フィリップ王子デザイナー賞(次点者)
1991年 ロータス・エランでデザイン・カウンシルの英国デザイン賞を受賞
1994年 21年間の自動車デザイン及び指導・教育に対し、RCA賞を受賞
2001年 デザイン教育に対し、ロンドン運転者(カーメン)名誉組合のヴィヴァ賞を受賞
2002年 「オートカー」誌のデザイナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞
2003年 フィリップ王子デザイナー賞(次点者) / この賞は52年に渡り役目を果たしたとして2011年に運営終了

Personal History / 人物の略歴

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1961 Sculpture student at Saint Martin’s School of Art, London
1963 Student of Industrial Design at Royal College of Art (RCA)

芸術家を両親に持つピーター・スティーブンスは、1961年からロンドンのセント・マーチンズ芸術大学で彫刻を学び、63年から世界的に権威のある公立の美術系大学院大学、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で工業デザインを学びます。73年からオーグル・デザイン(54年創業のデザイン・コンサル会社)にてシニア・デザイナーを務めながら、翌74年に母校RCAで自動車デザインの非常勤講師となり、学生たちに教鞭を執り始めました(2015年までの約40年間)。

76年に独立し、自らのデザイン事務所ピーター・スティーブンス・デザインを設立すると、アルピーヌ・ルノーやTWR、ブラバムF1などのコンサルティングを開始します。85年からは、イギリスのF1コンストラクター兼自動車メーカーであるロータスやマクラーレンのチーフ・デザイナーを歴任し、数々の名作を世に送り出しました。94年にはRCAから功績が称えられ、99年に客員教授となります。彼は一流大学での後進育成という方法で、自動車デザイン界に大きな貢献を果たしました。

Representative Design Works / 代表的なデザイン作品

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Carrozzeria Fissore

ピーターの手になる数々の作品の中から、私が大好きな5台のうち4台を紹介します。いずれもイギリス・メーカーの2ドア・クーペです。1.6リッター直4エンジン(132ps)FFから、6.1リッターV12エンジン(636ps)MRまでと、エンジニアリングの振れ幅は大きいですが、4台ともボディ・スタイリングは柔らかい曲線基調で、各部の造形にも破綻箇所は無く、滑らかな面でバランスの良い一体的フォルムに構成されています。

ジョルジェットのエスプリをピーターがフェイスリフトしたように、残る大好きな1台も、彼の手で洗練化されました。独立後早々にコンサルティングした、フランス車のアルピーヌA310・V6(76年)です。本節では元のA310・1600VE(71年)をデザインしたカロッツェリア・フィッソーレの作品として紹介しています。英仏国境とブランドの垣根を越え、私の大好きなテイストは、同一のデザイナーが創り上げていたのです。

Lotus Esprit Turbo SE 1989-92 / ロータス・エスプリ・ターボ SE 1989~92年

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Julian Thomson

ジョルジェット・ジウジアーロによるウェッジ・シェイプ・ボディを纏ったロータス・エスプリは、1975年から12年間生産された後、87年に第2世代へと進化を遂げます。エクステリアのフェイスリフトは、当時ピーター・スティーブンスをチーフ・デザイナーとする社内デザイン・チームによって実施されました。

ピーターは、初代エスプリのフォルムを継承しつつも、各部に柔らかい曲線基調の処理を施すことで、70年代から90年代へとデザイン・テイストの近代化を果たします。ピーターがロータスを去った後、エスプリは93年にジュリアン・トムソンの手でマイナー・リファインされ、2004年まで生産されました。

Lotus Elan M100 S2 Spider Closed 1994 / ロータス・エラン M100 S2 スパイダー・クローズド 1994年

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Romano Artioli

Kia Motors Corporation

1986年にGMはロータスを買収し、62~73年にバックボーン・フレームFR駆動で大成功を収めたエランの名を、北米市場に向け89年に復活させます。エクステリアを担当したピーターは、同時期にデザインしたエスプリと統一感を持たせ、シンプルで滑らかな曲線基調のテイストにまとめあげました。

洗練されたハンドリングを実現しましたが、FF駆動への拒否反応、GM基準による開発費の高騰、北米の景気後退などから、92年に生産が停止されます。94~95年に新オーナーのロマーノ・アルティオーリがS2として復活させ、96~97年には韓国の起亜自動車がライセンス生産を行いました。

Jaguar XJR15 1990 / ジャガー XJR15 1990年

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ジャガーXJR15は、グループCカーのロード・ゴーイング・モデルとして誕生しました。ベース車は1988年のル・マン優勝車XJR9LMです。そのため、Cカー特有のボディ両サイドを垂直な一枚平面で構成し、コンパクトなキャビンを中央から前方寄りに配置する基本フォーマットが踏襲されています。

その上でピーターは、Cカー・XJR9の淡白な幾何学的フォルムを、ロードカーらしく優美な有機的フォルムに仕立て直しています。写真のプロバンス・ムラージュ製モデルカーはやや前後に冗長な造形となっていますが、スターター製のXJR15では、ピーターのスタイリングが上手に再現されています。

McLaren F1 1993-98 / マクラーレン F1 1993~98年

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マクラーレンF1は、ブルース・マクラーレンの果たせなかった量産ロードカー製作の夢を、1986~91年にマクラーレンF1マシンを設計したゴードン・マレーによって、93年に実現した究極のロードカーです。そのチーフ・デザイナー(90~93年)を任されたのが、XJR15開発後のピーターです。

3座センター・ステアリング方式やバタフライ・ドアという個性を凌ぐ、最大のエクステリア・デザインの特徴は、リア・ウィングなどの大仰な空力パーツを不要とする空力フォルムに他なりません。高度なエンジニアリングを見事なエアロダイナミクスで包み込んだ、ピーターならではのスタイリングです。

Topics / 新着情報

2017.02.06

第7章「博物館」・全4節を新規掲載

遂に全7章(日本語コンテンツのみ)の執筆を完了。英日対訳の日本語部分だけで約1年半かかってしまった。意図的に先延ばした箇所があるものの、何とか最後までたどり着いた。拍手!拍手!

2017.01.15

「車種リスト」ページを新規掲載

本編ページに掲載したモデルカー作品を検索するための、アルファベット順車種リストページを作成

2017.01.09

第6章・第5節「製品化要望」を新規掲載(第6章完了)

第4節の掲載から3箇月以上間隔が開いてしまったが、モデルカーを過去・現在・未来の時間軸を通して考察することができた。主要な日本語コンテンツとしては、第7章の「博物館」を残すのみ。

Headmaster / 学院長

1965(昭和40)年生まれ射手座A型のスーパーカーブーム直撃世代。小学高学年でガンディーニ・デザインに魅了される。
時を経て1990年、ロンドン駐在時に英国製の1/43精密モデルカーに出会い収集を始める。1998年の帰国後は、国内の専門ショップに収集拠点を移し、現在に至る。
スーパーカーを主軸とするロードカー・2ドアクーペに車種を限定することで、未組立キットを含め約5000台を収集。
モデルカーの認知拡大、コレクターへの支援、業界の充実発展を願い、主力3700台を『世界モデルカー博物館』に展示。
同時に、展示作品の愉しみ方を解説する本サイト『モデルカー学』を開講。現在も「コレクター道」を実践・追究している。

―2015年5月現在―

2017年6月末に英国ロンドンへ再赴任し、現在ロンドンから欧州の様々な情報をブログとFacebookで配信中。

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