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Wanted / 製品化要望

Chapter 6 - Section 5

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第6章 第5節

第6章の前半では、既に存在している言わば「過去」の作品を紹介しました。未組立キットは、これから完成させる「現在進行形」の作品と言えます。そして、その時間軸の延長線上には、まだ見ぬ「未来」の作品が存在しています。

モデルカーとは、実車を縮小再現した精密模型です。つまり、どう作品化するかという製品としての意匠以前に、何の実車を作品化するかという、対象の選択が重要です。この車種選択こそが、モデルカー業界の未来を創造する鍵なのです。

Artwork: Mitsuoka Orochi 2007
光岡 大蛇(オロチ) 2007年

Description
Mitsuoka was founded by Susumu Mitsuoka as a dealer of ordinary cars at the city of Toyama northern Japan in 1968 and developed its first original car Zerohan, meaning 0.5 litre engine, in 1982. After production of custom cars, the Lotus 7 looking Zero-1 acquired the vehicle type approval in 1996 to authorize Mitsuoka as the 10th car manufacture of Japan. Orochi was introduced in 2001 as a study model and a production car in 2006 with a mid-mounted V6 engine under the concept of Fashion Car, produced until 2014. Its unprecedented body was styled in the motif of Yamata-no-Orochi meaning the Eight-Forked Serpent.

作品解説
光岡自動車は、光岡進が富山市で独立開業した1968年から自動車販売を開始しますが、82年には原付免許で乗れる50ccのゼロハンカーを自社開発し、製造販売を開始しました。クラシカルな外観への改造車を世に送り出した後、94年に発売したロータス7風のゼロワンが運輸省の型式認定を受け、96年に国内10番目の自動車メーカーとなりました。この大蛇(オロチ)は2001年に最初のコンセプト・モデル、2006年に市販モデルが発表されたV6ミッドシップの2ドア・クーペです。光岡ならではの「ファッションスーパーカー」、つまり性能より外観を重視した“日常使い車”で、日本神話のヤマタノオロチをモチーフにした唯一無二と言ってよい個性的なルックスが特徴です。2007年から14年まで生産されました。1/43モデルではメーカー2社のみが製品化しています(2015年5月現在)。

All for Completion of Collections / 全てはコレクション完成のために

The Essence of Collection / コレクションの本質

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これまで、第2章「愉しみ方」で私達コレクター側のモデルカー収集テーマについて解説し、第5章「実践方法」第1節「モデルカーのメーカー」では、モデルカーの製造・販売を生業とするクリエイター達の現状や課題について触れました。両者は言わばビジネス・パートナーであり、モデルカー業界を成立させる上で、切っても切れない関係性にあります。

モデルカーの企画・製造には、実車メーカーが押し付けてくる法外な版権料問題をまず克服しなければなりません。その上で、コレクター達と健全なビジネスを成立させるには、モデルカー・クリエイター達が、作品化における「車種選択の原理原則」を貫く必要があります。これが意外と難しく、クリエイターによっては、その観点が欠落しています。

モデルカーが実車を縮小再現した精密模型である限り、作品化する車種選択が業界発展の鍵です。そこには、原理原則が存在しています。
   『 全てはコレクターのコレクション完成のために 』
つまり、クリエイターの使命は、特定の実車ブランドや収集テーマにおいて、その全てを作品化することなのです。

従って、モデルカー作品の本質とは、業界の真の主役であるコレクター達が私財を投げうち取り組んでいる「コレクション」を完成させるために存在しているということです。そのための要件は、決して大量に売れる人気車種に偏ってリリースすることではなく、たとえ地味でも、まだ作品化されていない車種を地道にリリースし続けていくことなのです。

Forgotten Marques by Creators / クリエイター達に忘れ去られた車種

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クリエイターとはいえ商売ですので、知名度が高く数多く販売できそうな車種がどうしても優先されます。すると、知名度の低い希少車種やマニアックなコンセプトカーなどは、選定から外されがちです。しかし近年、少量生産のレジン製完成品を格安に提供する新興メーカーが増えたおかげで、忘れ去られていた車種も徐々にリリースされ始めました。

それでもなお、既存の製品ラインナップから漏れ落ちている車種があります。その中から、私が是非とも1/43レジン製モデルカー(ファクトリー・ビルト完成品)でリリースして欲しい車種を紹介します(2016年10月現在)。実は、20年近くその筆頭に君臨していた ハーマン F512M は、遂に16年1月、最高品質を誇るD&G社によって製品化されました。

 Hamann F512M (Germany) / ハーマン F512M (ドイツ)

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ハーマンF512Mは、テスタロッサ・コレクションを完成する上で締めの1台です。最もパワフルなテスタロッサはケーニッヒ・コンペティションですが、ベース車は初期型です。一方、ハーマンはエンジニアリングを煮詰めた最終進化型のF512Mがベースです。つまり、ハーマンF512Mは究極のテスタロッサであると共に、365BBから続くボクサー・エンジンを搭載した最後のミッドシップ・フェラーリとなったのです。

テスタロッサと512TRは、10年間で約9500台が販売されましたが、F512Mは500台と少なく、知名度の低いフラッグシップとなりました。外観上の特徴は “スマイリー・フェイス” と揶揄された丸みのあるデザインですが、ハーマンF512Mでは、置き土産のサイドスリットを弧形の縦型フィンに換えることで、ボディ全体を統一感のある曲線基調でまとめあげ、個性的で完成度の高いエクステリアに昇華させています。

 Lamborghini L150 (Italy) / ランボルギーニ L150 (イタリア)

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Patrick Mimran
Giulio Alfieri
Chrysler chairman Lee Iacocca
Horacio Pagani

1978年に倒産したランボルギーニの再建を、81年に実業家パトリック・ミムランが買って出ます。マセラティからジュリア・アルフィエーリを迎え入れ、シルエットの改良型ジャルパや、量産カウンタック初の5リッター・エンジン搭載車LP500Sなどを世に送り出します。そして、創立25周年記念モデルとして、88年にL150(試作車)が開発されます空力性能と冷却効果の向上を目指した自動開閉式ルーパーや、1枚型のサイド・ウィンドウなどに外観上の特徴があります。

ダウンフォース不足を補う大仰なリア・ウィングを廃止でき、71年のプロトタイプ第1号車LP500を思わせるシンプルなフォルムに回帰したスタイリングでしたが、87年にランボルギーニを引き継いだリー・アイアコッカ率いるクライスラーはL150を廃案にします。25周年記念カウンタック(88年)は、世界初カーボン・ファイバー製のエヴォルツィオーネ(87年)を開発したオラチオ・パガーニ(91年に独立し92年にパガーニ・アウトモビリを設立)のデザインで量産化されました。

 Mega Monte Carlo (France) & MCA GTB Centenaire (Monaco) /
 メガ・モンテ・カルロ (フランス)& MCA GTB サントネール (モナコ公国)

Mega Monte Carlo

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the Metropolis of Lyon
Arola SARL
(SARL=société à responsabilité limitée)
microcars
Aix-les-Bains
Aixam Automobile
off roader
French Riviera
 (フレンチ・リヴィエラ=
コート・ダジュール=Côte d'Azur
the Principality of Monaco
Fulvio Maria Ballabio
Monte Carlo Automobile (=MCA)
Guglielmo Bellasi
Lamborghini Countach Evoluzione
Bologna
Automobile Club de Monaco
His Royal Highness Prince Rainier of Monaco
Carlo Chiti
Aleksander Mirianachvizi
Migrelia & Georgia
Albert II, Sovereign Prince of Monaco
The name ALA 50 is a tribute to Prince Albert's 50th birthday in March
Charles Deutsch (1911–1980)
René Bonnet
French aerodynamics engineer
the "Index of Performance" trophy
SERA-CD (Société d’Etudes et de Réalisations Automobiles-Charles Deutsch)
the flat underbody and rear diffuser

1975年にフランスのメトロポール・ド・リヨンで設立されたアローラは、免許不要の原動機付自動車(マイクロカー:日本の道交法ではミニカー)のメーカーで、83年に拠点をエクス・レ・バン(Aix-les-Bains)に移し、地名と自動車(Automobile)を掛けたエクサム(Aixam)として再出発します。92年には普通車ブランドのメガ(Mega)を立ち上げ、メルセデス製6リッターV12エンジン(400ps)をミッド搭載し車高調整が可能な全輪駆動オフローダーのメガ・トラックを5台製造します。

その頃、フランス紺碧海岸(コート・ダジュール)のモナコ公国では、イタリア人レーシング・ドライバーのフルヴィオ・マリア・バラビヨがレースカーとロードカーの製作を志し、モナコ初の自動車メーカー、モンテ・カルロ・オートモービル(MCA)を83年に設立します。フルヴィオは、世界初のカーボン・ファイバー製カウンタック・エヴォルツィオーネ(試作車)に着想を得て、F1コンストラクターのグリエルモ・ベラシ協力の下、世界初のフル・カーボン・ファイバー製ロードカーの製作に着手します。

90年3月、フルヴィオは完成したシャーシをランボルギーニに持ち込み、最新V12エンジンの供給を取り付けます。そして、モナコ自動車クラブ(F1モナコGP等の主催団体)100周年に因みサントネール(100周年)と命名すると、5月のモナコGPでお披露目し、8月にレーニエ3世へ献上します。92年にはフェイスリフトを行い、カルロ・キティのF1用V12ツインターボ・エンジン(720ps)を搭載してGTB(写真右)と車名を変えますが、製造されたサントネールは合計5台程度です。

93年、経営難に陥ったMCAは、モナコ生まれでジョージア王室(旧表記はグルジア)の後継者アレクサンドル・ミリアナシュヴィズィの支援を受けます。彼はサントネールをレースカーに改造し、MIG(ミングレル人とジョージア国)のM100としてル・マン24時間耐久レース等に参戦しますが、結果を出せずサーキットから撤退します。紆余曲折を経た2009年、創立25周年とアルベール2世50歳の誕生日を祝し、MCAはカーボン・ファイバー製の新型車ALA50を発表しました。

一方、メガ・ブランドでモータースポーツに参戦したいエクサムは、MCAに白羽の矢を立て、95年にサントネール・プロジェクトごと買収すると、ル・マン戦を視野に、フェラーリやランボルギーニといった老舗メーカーへの挑戦を開始します。まず、サントネールのリデザインを、SERA-CDに依頼します。創設者のシャルル・ドゥーチェ(1911–80年、イニシャルCD)は、62年にル・マン性能指数賞を受賞し、アルピーヌM64等のデザインを手掛けた空力エンジニアの先駆者でした。

SERA-CDによって、フル・カーボン・ファイバー製の車体は、空力特性の向上とエクステリアの洗練化が図られ、メルセデス製6リッターV12エンジン(500ps)を搭載したメガ・モンテ・カルロとして、96年のジュネーヴ・モーターショーでお披露目されます。しかし、98-9年の生産は4台程度で、GT1仕様車(写真左)も1台製作されたもののル・マン参戦は叶わず、メガはスーパーカー事業から撤退します。メガの手を離れたMCAは、創設者フルヴィオの下で25周年を迎えました。

 RJ Racing Helem V6 & Technical Studio Technology Helem TS07 (France) /
 RJレーシング・エレームV6 & テクニカル・スタジオ・テクノロジー・エレームTS07 (フランス)

Helem V6 TS07

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Patrick Legeay
Legeay Sports
Jean-Michel Roy
Teloché
Renault Sport Spider
Brian Johnson
Nogaro Technologies

1994年のル・マン24時間耐久レースに、自身のアルピーヌA610で出走し、総合13位という成績を収めたパトリック・ルジェイ(ルジェイ・スポーツ主宰)は、95年にもう1台のA610を準備しますが予選に間に合わず、ル・マンに参戦できないばかりか破産してしまいます。そこを、F3ドライバーを息子に持つジャン・ミシェル・ロイに助けられ、ル・マン近郊のテロシェに新工場を建設して、95年もレース活動を継続します。

同年、アルピーヌがブランドの歴史に幕を閉じると、ルノー・スポール(旧アルピーヌ)から新開発のスピダー(直4)を紹介してもらい、スピダーのシャーシにル・マン用A610のV6ツインターボ・エンジンを搭載し、風洞実験に基づくクーペ・ボディを架装した「スピダー・ルノー・スポールV6ビトゥルボ」を開発します。ルジェイ・スポーツとして96年のル・マンGT1クラスにエントリーしますが、決勝には出走できませんでした。

実はその背景に、パトリックとジャンの提携解消に伴うチーム体制の不備がありました。ジャン(oy)は英国人ブライアン・ジョンソン(ohnson)を新パートナーに迎え、RJレーシングを設立し、車名も「エレーム(L・M=ル・マン)V6」と改め、97年のル・マンGT1クラスに再挑戦します。当時GT1では、1台以上の公道仕様車の生産が義務づけられていました。そうして、エレームV6ロードカーは誕生します。

98年にはGT2クラスに変更しますが、ルノー・スポール傘下での発売計画が頓挫したため、GT2参戦に必要な規定の50台以上の生産ができず、99年にRJレーシングは経営破綻します。ブライアンは2台を英国に持ち帰り、エレームは時には名前を変えつつ、異なる4社に生産が引き継がれていきます。その中の1つテクニカル・スタジオは、ロードカーとしてさらに煮詰めたエレーム TS07を、07年に発売しました。

 Lotus Esprit Sport 350 & 30th Anniv (UK) / エスプリ・スポーツ350&30周年記念車 (イギリス)

Lotus Esprit Sport 350 & V8

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Julian Thomson

1972年に登場したエスプリは、1/43キットは存在していたのですが、初めてレジン製ファクトリービルトで製品化された車種は、93年のスポーツ300(仏スターター社製)でした。その後の車種は、英SMTS社から発売されましたが、エスプリの歴史上、重要なモデルが抜け落ちています。

1台は、ピーター・スティーブンスの後を受け、ジュリアン・トムソンがリデザインしたV8エスプリで、99年の50台限定特別仕様車スポーツ350(写真左)です。もう1台は、02年の30周年記念車(写真右)で、エスプリ初の丸形4灯テール・ランプなど、さらなるマイナー・フェイスリフトが施されています。

 Panther Solo 2 (UK) / パンサー・ソロ 2 (イギリス)

Panther Solo 2

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Robert Jankel

パンサーは、1972年に ロバート・ジャンケルが創設したイギリスの自動車メーカーで、クラシックカー風のレトロ・スポーツカーで人気を博しますが、経営難から韓国企業に買収されます。そんな中、84年のロンドン・モーターショーで、フォード社製1.6リッター・エンジン(105hp)をミッド搭載した現代風2座スポーツカー、ソロ(1)を発表します。308GTSのようなリトラクタブル・ヘッドライトとタルガ・ルーフを備えていました。

しかし、同年発売のトヨタMR2に対し競争力の無さが判明。ソロ2として2リッター・ターボ(204hp)化、4WD化、2+2座化、回転式ヘッドライト化、クーペ・ボディ化等を行いますが、価格が4倍に膨れ、販売を絶望視した親会社は88年にパンサーを売却します。翌年ソロ2は新会社から発売されますが、20数台を生産しただけで、90年に経営破綻します。01年、パンサーの諸権利は創設者ロバートに戻りました。

 Spectre R42 & R45 (UK) / スペクター R42&R45 (イギリス)

Spectre R42 & R45

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Ray Christopher
GT Developments (GTD)

フォードGT40(1960年代)の高性能レプリカで成功したGTディヴェロップメンツ(GTD)社のレイ・クリストファーは、現代(当時90年代)版GT40の開発に着手し、93年のロンドン・モーターショーでR42を発表します。Rはレイの頭文字、42は本家GT40に倣って車高42インチを意味しています。

しかし資金に行き詰り、GTDの元ディーラーで米国籍のスペクター社へR42の権利を95年に譲渡します。96年から販売を開始しますが、製造コスト高と景気後退から、わずか23台を生産しただけでスペクター社は97年に倒産します。高性能なR45を発表するも、延命策の役割は果たせませんでした。

 ASL Garaiya (Japan) / オートバックス・スポーツカー研究所(ASL) ガライヤ:我来也 (日本)

ASL Garaiya 我来也

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カー用品店を運営するオートバックスセブンは、トミーカイラの研究開発部門を買収し、オートバックス・スポーツカー研究所(Autobacs Sportscar Laboratory=ASL)を設立して、2001年に代官山でガライヤ(我来也)を発表します。我来也とは、中国・宋代の沈俶(ちんしゅく)が記した説話集『諧史』(かいし)に登場する盗賊の名で、侵入した家の壁に書き残す「我、来たるなり」のメッセージに由来しています。

日産製2リッター直4エンジン(204ps)をミッド搭載したオールアルミ・ボディの2座クーペで、車重はわずか800kg。エクステリアは西田典幸デザインの自称エアロ・ウェッジシェイプ。シザー・ドア方式で、トランク・ルームも備えています。02年から受注を開始しましたが開発が難航し、05年に製造・販売計画は中止されました。西田は02年発表の姉妹車ASL・RS-01(元トミーカイラZZⅡ)のデザインも手掛けています。

 Gigliato Aerosa (Japan) / ジリアート・エアローザ (日本)

Gigliato Aerosa

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いすゞ自動車で9年間デザイナーを務めた中村信雄は、和製カロッツェリアを志して独立、1987年にジリアート(イタリア語で “百合の花が咲く所”)・デザインを創設します。そして93年のフランクフルト・モーターショーにて、エアローザ(イタリア語で “風のように”)のランニング・プロトタイプを発表します。

全長3980mm車重1050kgの2座クーペボディに、フォード製3リッター・エンジン(220ps)をミッド搭載し、ゴルフバッグを2個積載できる実用的スポーツカーです。95年に試作2号車を発表し、ランボルギーニと製造販売を提携して、98年に市販化直前でしたが、諸事情により計画は中断されました。

Unreleased Brand New Marques / 未発売の新型車種

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1990年代に登場したブガッティEB110やマクラーレンF1により、スーパーカー業界は一気に近代化が進み、エンジニアリング面の技術革新も目覚ましく、情熱と技術力を持った個性的な新興スーパーカー・メーカーが続々と登場してきます。

スーパーカー文化圏から外れた北欧のケーニグゼグでさえ、14年に創業20周年を迎えました。ランボルギーニから独立したパガーニや、ドイツのグンペルト(現アポロ)などと共に、21世紀スーパーカー・メーカーの座を勝ち取っています。

また、新しい設計手法や新素材の開発・普及、ターボ技術の向上や電動化技術の急激な進化、そして一部の大富豪による “億超え” 高級車市場の形成など、スーパーカーを取り巻く科学的・社会的環境は21世紀に著しく変化しています。

そのため、モデルカー業界は常に実車業界の趨勢を見極め、当代の新興メーカーや小規模メーカー、創造性の豊かな各種コンセプトカーにもアンテナを張りめぐらし、製品化する車種選定において革新的な挑戦を続けなくてはなりません。

実車と同じく、モデルカー業界の設計方法も変化を遂げました。3D-CADの導入です。そのため、多くのレジン製完成品メーカーが、1/43より2~5倍の定価を設定できる1/18を好んで製作し始めましたが、原理原則を忘れてはなりません。

モデルカー・メーカーの使命は、コレクター達のコレクションを完成させることです。中国の金持ち相手に1/18へ注力する台所事情は理解できますが、これまで支えてくれた1/43コレクター達の恩義に報い、共に発展する施策が必要です。

モデルカーが実車を縮小再現した模型(スケール・モデル)である限り、その現物を通して、造形的な美的感性物語的な知的感性が刺激されねばなりません。そのためには、美しく魅力的なエクステリアの車種を選定し、作品化するのです。

ちなみに、レゲーラ、ゼンヴォST1、ヴェノムGT、ライカンなどは1/18で製品化済みですが、1/43では未発売です。また、アスカリやノーブルなどは、2016年になってやっとレジン製完成品での製品化が始まりました(2016年10月現在)。

 Koenigsegg Regera (Sweden) / ケーニグゼグ・レゲーラ (スウェーデン)

Koenigsegg Regera

 Zenvo ST1 (Denmark) / ゼンヴォ ST1 (デンマーク)

Zenvo ST1

 Apollo Allow & Apollo N (Germany) / アポロ・アロー&アポロ N (ドイツ)

Apollo Allow

 Sin R1 (Germany) / シン R1 (ドイツ)

SIN R1

 Tushek & Spigel TS500-600 (Austria) / トゥシェック&シュピゲル TS500-600 (オーストリア)

Tushek TS500 & TS600

 Leblanc Caroline GTR (Switzerland) / リブラン・カロリーナ GTR (スイス)

Leblanc Caroline

 Sbarro GT-HDI & GTR (Switzerland) / スバッロ GT-HDI & GTR (スイス)

Sbarro GTR

 Arrinera Hussarya (Poland) / アリネーラ・フサリア (ポーランド)

Arrinera Hussarya GT

 Shayton Equilibrium (Slovenija) / シェイトン・イクイリィブリアン (スロベニア)

Shayton Equilibrium

 Arash AF8 & AF10 (UK) / アラシュ AF8&AF10 (イギリス)

Arash AF10

 Ascari Ecosse, KZ1, KZ1-R & A10 (UK) / アスカリ・エコッセ, KZ1, KZ1-R&A10 (イギリス)

Ascari

 Keating SKR, TKR, ZKR & Bolt (UK) / キーティング SKR, TKR, ZKR&Bolt (イギリス)

Keating Supercars

 Noble M12-M400 & M15-M600 (UK) / ノーブル M12-M400 & M15-M600 (イギリス)

Noble M12 & M600

 Ultima GTR (UK) / アルティマ GTR (イギリス)

Ultima GTR

 Capstone Turbine CMT-380 (USA) / キャプストーン・ターバイン CMT-380 (アメリカ)

Capstone CMT-380

 Factory Five GTM Supercar (USA) / ファクトリー・ファイブ GTM スーパーカー (アメリカ)

Factory Five Racing GTM Supercar

 Hennessey Venom GT & F5 (USA) / ヘネシー・ヴェノム GT & F5 (アメリカ)

Hennessey Venom GT

 Kepler Motion (USA) / ケプラー・モーション (アメリカ)

Kepler Motion

 Mosler MT900 (USA) / モスラー MT900 (アメリカ)

Molser MT900S

 Rapier SL-C Superlite Coupe (USA) / レイピア SL-C スーパーライト・クーペ (アメリカ)

 Trion Nemesis (USA) / トリオン・ネメシス (アメリカ)

Trion Nemesis

 De Macross GT1 (Canada) / デ・マクロス GT1 (カナダ)

De Macross GT1

 HTT Pléthore LC-750 (Canada) / アシュティティ・プリトー LC-750 (カナダ)

HTT Plethone LC-750

 Inferno (Mexico) / インフェルノ (メキシコ)

Inferno

 Devel Sixteen (UAE) / デヴェル・シクスティーン (アラブ首長国連邦)

Devel Sisteen

 Lykan HyperSport & Fenyr SuperSport (UAE) / ライカン&フェニア (アラブ首長国連邦)

Lykan HyperSport

 Aurelio (The Philippines) / アウレリオ (フィリピン)

Aurelio

 NIO EP9 (China) / ニオ・EP9 (中国)

NextEV NIO EP9

 Techrules AT96 & GT96 TREV (China) / テックルールズ AT96&GT96 TREV (中国)

Techrules AT96 & GT96 TREV

Key of Futur Prosperity

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業界発展の鍵

1/43モデルで未発売の2ドア・クーペを思いつくまま列挙したら、個性的で魅力的な車種がこんなに多く残っていることが分かりました。どのくらいの車種をご存知でしたか。各実車の詳細は、是非ご自身で調べてみてください。

車種選定において、実車メーカーの知名度とブランド力に便乗するのは業界の定石でしょうが、馬鹿の一つ覚えでフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなどの横綱・大関ばかりを製品化しても、モデルカー業界は活性化できません。勢いのある新入幕力士や、金星を狙う平幕力士達が活躍し、波乱が起こるからこそ大相撲も盛り上がるのです。

上記リストの中には、ヴェイロンを凌ぐ16気筒エンジンを搭載した時代錯誤のモンスター・マシンも存在しますが、未来志向の電動スーパーカーや、庶民のためのキット・カー(未組立で販売される実車)も存在しています。

モデルカーという独立したジャンルの美術工芸品として、感性が刺激されるような車種は、片っ端から製品化していって欲しいものです。実車の開発・製造・販売に比べたら、労力もコストも微々たるものです。まず製品化されなければ、売ることも買うこともできません。

コレクターはコレクターとしての本分を全うし、クリエイターはクリエイターとしての本分を全うすることが、モデルカー趣味業界発展の鍵なのです。

Topics / 新着情報

2017.02.06

第7章「博物館」・全4節を新規掲載

遂に全7章(日本語コンテンツのみ)の執筆を完了。英日対訳の日本語部分だけで約1年半かかってしまった。意図的に先延ばした箇所があるものの、何とか最後までたどり着いた。拍手!拍手!

2017.01.15

「車種リスト」ページを新規掲載

本編ページに掲載したモデルカー作品を検索するための、アルファベット順車種リストページを作成

2017.01.09

第6章・第5節「製品化要望」を新規掲載(第6章完了)

第4節の掲載から3箇月以上間隔が開いてしまったが、モデルカーを過去・現在・未来の時間軸を通して考察することができた。主要な日本語コンテンツとしては、第7章の「博物館」を残すのみ。

Headmaster / 学院長

1965(昭和40)年生まれ射手座A型のスーパーカーブーム直撃世代。小学高学年でガンディーニ・デザインに魅了される。
時を経て1990年、ロンドン駐在時に英国製の1/43精密モデルカーに出会い収集を始める。1998年の帰国後は、国内の専門ショップに収集拠点を移し、現在に至る。
スーパーカーを主軸とするロードカー・2ドアクーペに車種を限定することで、未組立キットを含め約5000台を収集。
モデルカーの認知拡大、コレクターへの支援、業界の充実発展を願い、主力3700台を『世界モデルカー博物館』に展示。
同時に、展示作品の愉しみ方を解説する本サイト『モデルカー学』を開講。現在も「コレクター道」を実践・追究している。

―2015年5月現在―

2017年6月末に英国ロンドンへ再赴任し、現在ロンドンから欧州の様々な情報をブログとFacebookで配信中。

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